「食べ過ぎなければ大丈夫?」
- info431045
- 4月2日
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(行動すると消費されていく、さまざまなエネルギー)

先日、小梅路蒸気機関車館にお邪魔をしてきました。昔ながらの剛性の大きな車体の迫力に感動を禁じ得ず、つい見とれてしまいました。機関車は石炭を燃やすことで水を蒸発させ、その蒸気の力で動力を得る仕組みになっているのですが、この熱の力から動力を得るというだけの機構に意外と複雑な構造が必要であったことには驚き、ひとつの工場が走っているという感覚さえ覚えました。今では最速時速130キロを記録した機関車にとって代わって、新幹線やリニアモーターカーなどさまざまな乗り物が世に出てきました。電気の力を使った新幹線だと最高時速320キロ、電磁気力の力を用いたリニアモーターカーに至っては最高時速581キロを記録しています。時代によってエネルギーの使い方が変化しそれに伴ったエネルギーの効率も大きく変わってきました。
そこで今回、さまざまなものを動かすのに必要なエネルギーについて触れるとともに、人体を動かすのにどれぐらいのエネルギー(カロリー)が必要なのか、少し触れてみることにしました。

表は、さまざまなものが移動するときに要するエネルギーがどれくらいかがまとまった表になります。右軸が重量(体重)、縦軸が1gのものを1km動かすのに必要なエネルギー量での比較になっています。
(ちなみにリニアモーターカーのエネルギー効率は自動車の約1/2 航空機の約1/3、また新幹線(鉄道)だと航空機の約1/4 自動車の約1/6と、リニアモーターカーは少し効率は悪く、蒸気機関車に至ってはエネルギー効率は1/3(鉄道30%に対し10%以下)と比べかなり効率は悪いようです。
< 通商産業省「総合エネルギー統計 」>
さて右の表を見ますと、ヒトはねずみ15に対して0.75、非常にエネルギー効率に優れているのがわかります。もちろん表のとおり生き物の種類に伴い、ヒトより効率が良い馬や鮭もあるようにエネルギー効率は大きく違っています。乗物だと、ヘリコプターは3.9、ジェット機は1.6、自動車は0.8と0.75のヒトと比べエネルギー効率は悪いようですが、輸送能力の高いジェット旅客機は0.6と効率がよい輸送手段といえます。気になったのが自転車で、これほどエネルギー効率が良い移動手段とは思いませんでした。またこうして比べてみると、自動車での移動と徒歩や馬での移動とではさほどエネルギー効率が変わらないことも少し意外でした。
では次はヒトについてまいります。一般的に人体のさまざまな運動に対する消費カロリーは、厚生労働省の2006年健康づくりのための運動指針を基準に作成された「 METs(メッツ)値(身体活動の強度を示す値)」を指標にして考えます。個人の体重差によっては、同じ身体活動でも消費エネルギーに差が出るためkcalではなくMETsを使います。
METs(メッツ)
METsは、身体活動の強さが安静時の何倍になるかを示す単位ですので
METs = 運動時総活動代謝量 ÷ 安静時代謝量で
1METs = 3.5mL 酸素消費量 / kg体重 / 分ですから
1METs = kcal / kg体重 / 時 になります。
身体活動の強度の単位(運動によるエネルギー消費量が安静時の何倍にあたるか)
・1METs = 座って安静にしている状態
・3METs = 通常歩行
Ex(エクササイズ)
Exは身体活動量を表す単位となります。
(METs × 身体活動の実施時間) = メッツ・時
・3METsの通常歩行を1時間行う → 3METs × 1時間 = 3Ex(エクササイズ)[メッツ・時]
・4METsの庭掃除を15分行う → 4METs × 15分(0.25時間) = 1Ex(エクササイズ)[メッツ・時]
【 エネルギー消費量 (kcal) = 1.05 × 体重 (kg) × METs値 × 時間 (h) 】
【 エネルギー消費量 (kcal) = 1.05 × 体重 (kg) × Ex (エクササイズ) 】
(詳しい内容(運動分類)は厚生労働省戸山研究庁舎の「身体活動のメッツ表」(PDF)を参考にしてください。)
例)体重60キロの人が、2時間スコップを使って虫を掘りおこし(コード4010)、そのあとマーチングバンドのドラムを演奏、歩行を1時間して(コード10135)ややきついパン作りの仕事(コード11010)を4時間したとすると
1.05 × 60kg ×(4METs × 1時間 + 3.5METs × 1時間 + 4METs × 4時間)= 1.05 × 60kg × 23.5Ex(エクササイズ)[メッツ・時]= 1,480.5 kcal
がエネルギー消費量となります。
1日に消費するエネルギー代謝には大きく分けて、基礎代謝、活動代謝、DIT量(食事誘導性体熱産生量)の3つがあり、それぞれ全体の7割が基礎代謝、2割が活動代謝、1割がDIT量となります。
【基礎代謝】:何もしないでじっとしている時でも、内臓の活動や体温維持などの生命維持活動のために消費するエネルギー。その最低限必要なエネルギー量を基礎代謝量と言い、年齢と共に低下していきます。
【活動代謝】:なんらかの活動をした時に発生するエネルギー消費を活動代謝といいます。スポーツはもちろん日常生活での自発的行動全て含まれます。
【DIT量(食事誘導性体熱産生量)】
食事をすることで消費されるエネルギーのこと。発汗作用、新陳代謝を高める食べ物を摂取することで高まります。ヒトひとりの1日に必要な摂取カロリーは、成人男性で2500キロカロリー前後、成人女性で2000キロカロリー前後だとされていますが、近年運動不足も一因ではありますが、食べ過ぎによる体調不良が増加しています。上手な健康管理をしていくのであればその8割ほどのカロリー摂取を目標にしてください。
すこし粗い切り口になりましたが、今回さまざまなエネルギーについて触れてみました。
昔の人も現在に生きる我々もさまざまなスタイルで生活を営んでいます。もちろんエネルギーに関する日常のあり方は変わってきましたが、形を変えても日々の生活をしていくうえで最も大切で欠かすことはできないことは言うまでもありません。
つい日常に追われてしまい忘れてしまいがちですが、自分のとりまく環境を再認識してみるのもいかがでしょうか?スポーツの秋ですし、これを機会にエネルギーと健康のため、サイクリングを始めようかな。
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