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「脳は、だましだまされ、補完する」

(カニッツァの三角形/白い三角形がなぜみえてしまうのか?)




 先日機会があり神戸青少年科学館にお邪魔をしてきた。現在の社会を支えている各種機器などの小さなものから、惑星の成り立ちといった大きなものまで、物理法則の初歩から「科学」を楽しめ、勉強ができるお勧めの場所だ。そこで私がふと気にとまったのが、永久に音階が上昇し続ける「無限音階」や「追ってくる顔」などが展示されてる感覚器展示室だった。今ではインターネットで「だまし絵、錯視、トリックアート」などと検索すると、この人間の感覚器官の錯覚を体現出来る画像が山ほど出てくる。「なんて人間の感覚器官はいい加減なものなのだろうか」と改めて思い知らされる。またそれと同時に、「現代社会においてなんてこの錯覚を利用したものが多く取り入れられいるのだろうか」と、知らないうちに意識させられているわたしたちが皮肉に思えてくる。例えば交通では路面標識などの各種標識(メリハリの利いた減速効果や注意歓呼など)、インテリアであればインテリアコーディネート(同じ部屋でも家具の配置や壁の色で広さなどが変わって見える、見せ方によって全く別の空間になるなど)、広告全般(飲食関係であればより美味しそうに魅せるなど、錯覚を含めた人間の全感覚器官をフルに活用し如何に相手に端的にインパクトを与えるか など)、アミューズメント(道幅を調整することでアトラクションまでの体感距離を変えたり、建築物の模様を変えることでその建物の大きさをかえるなど)、テレビなどの動画、映像関係も「残像現象」という一枚一枚の写真をめくることであたかも動いているように見せる錯覚を利用している、などなど挙げだしたらキリがない。我々は何も感じていないようでも実はものすごく多くの情報の元で生活を営んでいる。わたしたちが調剤業務を行っている時でもしかり、どんなに間違いないと確信していても、このいい加減な感覚器を持つ人間である限り絶対はありえない。どうしても複数の人とのコミュニケーションを通し、互いを補完していく行為が不可欠となる。時に機械化し業務の短縮化を図ったとしても、それを管理するのもやはり人間。人によってミスが増えるが、逆にミスを減らすのもまた人。この頼りない感覚器をもつ人間が創造したこの社会システムのユラギの素晴らしさに共感しつつ、ジレッたくも感じるわたしがいる。


 
 
 

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