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「私がアクビ → 友人もアクビ → 弟もアクビし →→ あら、犬までアクビしちゃったよ。」(アクビってなんでうつるの?)



 11月となってだいぶん涼しくなり、昼下がりの気温の涼しさに加えて少し残る日射の強さで、つい食後などウトウトとしてしまう。気が付けばあくびも一つや二つ。自分ではアクビをしているという意識がないのだが、人から指摘されると「ヤバっ」となる。


背筋を伸ばして深呼吸して、自分の席でプチ新体操。朝の電車でもよくアクビをされている方もいるが、気をつけてみていると結構アクビが伝染していることがわかる。ラッキーなときは3連続のアクビ大会を観戦できる。


そもそもあくびというのはどうしておこるのでしょうか?簡単に言うと血液中の二酸化炭素濃度が高くなると起こり、脳の酸素不足によって起こる反射の一種です。そして疲れている時や眠たい時などの脳の酸素不足から覚醒させるため、あくびという「大きな呼吸」をするのです。


ところが人のあくびを見ると自分もあくびが出ることがある、いわゆる「あくびがうつる」ことがあるというのは一体どういうことなのでしょうか。当然、菌などのような感染があるわけがなく、ただその空間の酸素濃度が低く、たまたまその同じ空間を同じくした他の人にとってもあくびが出やすい環境だったからなのでしょう。しかし、人のあくびを見ると、何故かつられて自分もしてしまうなど 実はあくびに関して解明されていないこともたくさんあるのです。


今回、伊のピサ大学と国立の認知科学&技術の研究所の共同研究で、“あくびによって感情も伝わっているのでないか”ということが初めてわかったという面白い記事ありました。


この記事によると、厳密なデータの収集によって「伝染にもっとも重要なのは、あくびをする人どうしの関係の深さだったのです。実際、自分の恋人があくびをする時は、あくびを返してしまう率が高まります」


そして、あくびは親族、友人、知人、まったくの他人の順にうつりやすいことがわかりました。感染速度は、友人、親族、恋人、そして他人の順に速くなることが明らかになったのです。


そして、国立研究所のエリザベッタ・ヴィサベルギは、「この研究はこれまでの神経科学の報告に基づいています。これらの報告では、脳の感情をつかさどる部分とあくびの伝染にかかわる部分が重なっていることが分かっています」と結論づけたのです。


つまり、あくびとは退屈のサインではなく、感情移入のしるしであるかもしれない、と。そして、その数ヶ月後には飼い主のあくびは犬にも「伝染」するという実験結果をポルトガルのポルト大学などの研究チームがまとめ、学術誌「アニマル・コグニション」で発表しました。


 人間生活を営むということはさまざまな人に影響し、また影響されるのですが、われわれが考えている以上に複雑に絡み合っているのかもしれません。社会性生物である人間は進化と共に知らず知らずのうちに人を共感させているのかもしれません。


今度電車であくびの連鎖を見かけたら「もしかして?」と空想してみるのも面白いかもしれません。


 
 
 

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